一人暮らしで見栄を張る

なんとも偶然というか、一人暮らしが変な形でスタートする。当初は順調に進んでいたけど、だんだんと恐れていた方向へいってしまう。あぁやっぱり、そう上手くはいかないのね。

その変わった生活は始まった。まさる君は「野崎さん」と呼んでくれ、凄く慕ってくれた。私はインスタント物の生活で良かったのだが、一人暮らしもした事が無いのに見栄を張り、出来ない料理は本を見ながら毎回作った。栄養失調にさせてしまっては笑われる。上司は気を遣って何かあればまさと君に行かせ、週に2、3回は遊びに来て一緒にご飯を食べた。急に弟が二人もでき、家庭的じゃない姿を見せる訳にはいかず「憧れのお姉さん」を演じきる。

一人暮らしするならここにくればいい

まさと君は27歳で彼女はいなかった。頼りがいがあって、誰にでも優しい。まさにド・ストライク。たまに泊まって行く事もあり、そうすると一緒にお酒を飲む。「僕も一人暮らしがしたいな」いつもその話になるから、ここに来ればいいと誘う。そういう楽しい時間を過ごしていると、まさる君はヤキモチを妬くのか自分の話をいっぱいし出した。学校での出来事や将来の夢、自分の好きな子の話。聞いていると昔を思い出して甘酸っぱかった。

一人暮らしの大学生に夢中だった

ある日家に帰ると、まさる君が泣いていた。たぶんずっと泣きっ放しだったのか目が腫れている様に見えた。理由を聞くと、好きな子と親友が付き合ってしまったらしく、初めての失恋というやつだった。何も手につかないと酷く落ち込んでいる。ここはお姉さんが慰めてやるか〜と初めての失恋話をする。5つ上の一人暮らしをしている大学生に夢中だった事を。被る所があるのか身を乗り出して聞き入っている。今になって、昔の恋なんて小さい物に思えた。だってずっと昔だもん。

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